地元の方ならご承知の通り、時計台通りは北方向(大通→札幌駅)への、1本東隣の西2丁目通りが南方向(札幌駅→大通)への一方通行となっています。そして、札幌駅前に乗り入れるバス路線は、この道路にほぼ集約されています。
当会提案のうち時計台通りを含む2案では、この一方通行の流れに沿って市電を走らせることを想定しています。
終点で折り返して同じルートを往復するのではなく、ループ状に市街地を周って戻ってくる「単線ループ運行」と呼ばれる形態です。日本ではまだ前例がありませんが、海外では既に多くの都市で実績のある方式です。
ひとつの道路に軌道が1本だけで済むので比較的狭い道路でも敷設できる上、軌道を路肩(歩道側)に敷設することによって、市電に乗るときにいちいち道路を横断する必要がなくなり、安全性・利便性にも優れた方式であると言えます。
ところで時計台通り、失礼ながら「狭い裏通り」というイメージが拭えなかったのですが、改めて見ると思いのほか広い道路だったことに気付かされます。幅員は実質4車線分はあるでしょうか?
とは言え、うち路肩の2車線分は駐停車やトラックの荷捌きで占められていて、「道路」として機能しているのは2車線のみ。そこに市内線・長距離線の路線バスや、札幌駅方向への自家用車が集中して結構な混み具合です。
しかし、公共性の高い道路の使い方として、これではちょっと「もったいない」とは思われませんか?
もちろん沿道の方々にとって駐停車や荷捌きのスペースは必要です。
でも、それを丸々2車線分、延々と常時確保する必要があるのかどうか?
もう少しスマートに纏めることは出来ないものでしょうか?
バスと自家用車をうまく分離することができないものか?
お互いにとってもっと走りやすい道路になるのではないでしょうか?
先述の「狭い裏通り」のイメージも、どうやらそのあたりに起因するような気がしています。
私達は、そのような問題も踏まえた上で、具体的な軌道の敷設方法についても検討を重ねています。
というよりも、電停、バス停、タクシー乗降や駐停車、荷捌きスペース等も含めた「道路の使い方の見直し」と言った方が正しいかも知れません。
具体的な提言として公表するにはまだ少し時間が掛かりそうですが、いずれこのサイト・ブログでもそのようなお話をさせて頂く機会があるかと思います。
路面電車延伸を提唱すると、問答無用でクルマを排除しようとしているかのように捉えられてしまうこともありますが、決してそうではありません。広い都心を縦横に走る道路の、ほんの一部を公共交通に割いて頂きたい、というだけのことです。加えて、クルマにも、歩行者・公共交通利用者にも便利な街はどうあるべきかを常々考えていきたいと思っています。
でも、個人的には時計台通りの現況を見るにつけ、まだまだ手の入れようはあるなぁ・・・とは感じています。(鈴木周作)
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