【延伸問題】札幌商工会議所が「延伸凍結」を改めて要望

札幌LRTの会

2007年10月07日 01:44

少々古い話題になりますが、去る8月28日、札幌市と札幌商工会議所(札商)の懇談会が開かれ、その場で改めて札商側から「市電延伸反対」の要望が出されました。

市電問題以外も含めて札商側から提出された全12項目の「要望」と、それらに対する札幌市側からの回答が、札商の公式サイトに掲載されていますのでご参照下さい。
>>札幌市への要望(札幌商工会議所Webサイト)

以下、太字は上記Webサイトからの引用です。
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『6.路面電車の札幌駅延伸反対について (都市再生委員会)

 路面電車の延伸は、経営面、投資効果、政策効果などの観点から、適正な投資判断とは言えず、都心延伸、とりわけ札幌駅延伸については反対である。
 札幌市では、路面電車活用の基本計画検討フレームを作成し、平成21年度の基本計画(案)策定に向け、必要な調査・検討を行っているが、多額の市税が投入される路線延伸を前提とした事業化計画の策定を凍結するよう要望する。

(回答)
 路面電車の活用については、都心部の魅力や賑わいの創出にどのように貢献できるか総合的な検討を進めているものであり、札幌に相応しいデザインによる低床車輌の導入や、「札幌駅・大通・すすきの」の3地区を結ぶ路線延伸を進めることで、都心の活性化を図ることが魅力的なまちの実現に向け、大きな効果が期待できるものと考えている。』

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札商が市電延伸に強硬に反対しているのは周知の事実ですし、このように賛否両論、忌憚のない意見が交わされるのは有意義な事であると思います。しかし、今回の「要望」を見る限り、私個人としては特に以下の点において違和感を感じました。

1つは、あらゆる分野で「推進」「拡充」といったプラスの要望が列挙される中、市電だけは敢えて「凍結」というマイナスの要望が挙げられている点。

もう1つは、単に延伸に反対するだけでなく、延伸について議論・検討を行う事すら容認しない強硬姿勢。

札幌市では本年7月、今後の議論の進め方や問題点などを整理した「基本計画検討フレーム」を公表。その中で、今後事業化の判断に必要な調査・検討を進めた上で、平成21年度までに事業化を判断するために必要な「基本計画(案)」を取りまとめるとしています。具体的な事業計画の策定は、上記を踏まえた上で事業化の判断がなされた後、平成22年度以降となる予定です。
札商のいう「事業化計画の策定を凍結」というのが、どの段階を指しているのか定かではありませんが、あくまで議論の元となる調査・検討を進めている段階で、その調査・検討を凍結せよと言う事であるとしたら、「議論する事すら容認しない」という姿勢にはいささか疑問を抱かざるを得ません。

それらを踏まえて改めて読み返してみると、「都心延伸、とりわけ札幌駅延伸については反対」の言い回しに、いささか感情的なものを感じでしまうのは穿った見方でしょうか?

市電延伸には強硬に反対する一方、「札幌南環状道路の建設推進」「都心部と高速道路を結ぶ自動車専用道路の整備」など、「要望」の中には大規模な道路整備が挙げられています。

すなわち、札商の描く「まちづくり」とは「クルマ社会の更なる推進」。それに対して「歩いて回れるまちづくり」が我々市電活用推進派の提案です。
少子高齢化、都市拡散と都心衰退・・・来るべき時代を見据えた時、どちらの主張に分があるのか、札幌市、市民を交えた幅広い議論が今後交わされていくことを期待したいと思います。(文責・鈴木周作


~追記~
今回の「懇談会」にも出席された札商幹部氏が、当時委員を務めておられた「札幌市営企業調査審議会・交通部会」でも「延伸反対」の立場から意見を述べられています。以前当ブログでもご紹介させて頂きましたので、併せてご一読頂ければ幸いです。
>>【札幌市営企業調査審議会】交通部会7/5開催(07.6/28up)
>>【存廃問題】議論の原点?~平成13年交通事業改革プランより~(07.6/25up)


【札幌LRTの会公式サイト】


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