「7000形」というこの電車、実は純粋な新車ではなく、最近までJR東海・飯田線で活躍していた「119系」電車を改造転用したものです。
将来的には低床車両導入による福井鉄道との相互乗り入れ構想もあるえちぜん鉄道ですが、今回のところはあくまで在来車の老朽置換用ということで、従来通り鉄道線規格の大型車両となりました。
車内の雰囲気はまさに「国鉄」の趣です。
改造前からのものですが、ボックスシートの窓辺の小テーブルも同社初。
駅弁を頂くような距離と雰囲気ではありませんが、ちょっとしたお菓子や飲み物を置くには重宝しそうです。
ところでこの7000形、奇しくも田原町駅で接続する
福井鉄道の新型低床車両「FUKURAM」(→13.4/15当ブログ記事参照)とほぼ同時期のデビューとなりましたが、両者を比べてみると実に対照的。
それぞれの事情や方向性が垣間見えるようで興味深く感じられます。
まず「FUKURAM」が純然たる新造車である一方、7000形のほうは中古リフォームであること。
昨今の地方私鉄の「新車」といえば、一般的に電車の場合はJRや大手私鉄などからの中古譲渡車、ディーゼルカーや路面電車の場合は純然たる新造車となるケースが多いようです。
勿論それは条件に合った「出物」の有無によるのでしょうが、加えて言えばディーゼルカーなら燃費や保守性、走行性能の大幅な向上、路面電車なら低床車両が好まれる時代の要請など、敢えて新造車が求められる事情もあるのだろうと推察されます。
そしてもうひとつ、個人的にはむしろこちらの方が興味深いのですが…
在来車とは全く異なるボディカラーの「FUKURAM」と、敢えて在来車とお揃いの塗装・外観に仕上げられた7000形。
普段鉄道を利用していない層も含めて、地域のより多くの方々に興味を持って頂くには、街の景観まで変えるような斬新で魅力的な塗装デザインというのも重要ですが、一方で、その鉄道会社のブランドイメージ…どこの電車か一目で判るということも、長く地域に愛され続けるには大切なことかも知れません。
こればかりは何が正解と一概に言い切れるものではなく、結局最後はその会社の考え方次第となるわけですが、こうして両社の新車を見比べてみると、やっぱり福鉄は福鉄、えち鉄はえち鉄なんだなぁ…と(勿論良い意味で)妙に納得するものがありました。
ついでに一枚。
えちぜん鉄道の会員組織「えちてつサポーターズクラブ」の加盟店冊子の表紙に使って頂いた拙作・7000形イラストです。
実を言えば実車デビュー前に断片的な資料を基に描いたものですが、「えち鉄さんならこう仕上げるかな?」と想像して描いた部分が殆どその通りの姿で現れたのには我ながら感心してしまいました。
さすが、開業10年で築かれた不動のえち鉄スタイル…といったところでしょうか?(笑)
(
札幌LRTの会/イラストレーター鈴木周作)