【札幌市交通局実施プラン】平成19年度の重点政策は?
札幌市の各局・区の重点的な取組政策をまとめた「局区実施プラン」が公表されました。まずは交通局の実施プランの中から、市電関連の興味深い項目をいくつかご紹介してみようと思います。
「延伸計画策定」「低床車導入」あたりがポイントでしょうか?
※以下、太字は同実施プランからの引用です。
『1.事業を取り巻く環境と事業運営の方向性
路面電車については、まちづくりの中での活用方策を検討してきた「さっぽろを元気にする路面電車検討会議」における提言を踏まえ、札幌市として事業化の判断に必要な整備内容等を整理した基本計画案の策定に向け、検討すべき事項や課題の整理を行っています。交通局は、継続した安全対策を講じつつ、関係各局等との連携を図りながら、増収策など各種取組を積極的に進めていきます。』
慎重な言い回しではありますが、『「~検討会議」における提言』とは即ち『JR札幌駅への延伸』であるのは周知の事実であり、ここは延伸に向けての基本計画案策定に向けての検討を進めると解釈するのが妥当かと思われます。
『2.安全対策
● 車両改良
現保有車両30両のうち老朽化の進んでいる200形車両18両について、( 中略 )延命の可能な12両については、改良の緊急性を考慮しつつ、軌道事業の財政状況と、活用方策の検討を進めている現状を踏まえ、台車を中心とした改良によって対応します。19年度は4両の台車及び車体改良を行います。
なお、老朽車両を更新する場合は、低床車の導入が基本となるため、その試験導入について検討を行います。』
本年2月の定例市議会で市長が表明した低床車の導入方針が実施プランにも明記されました。早期の具体化が期待されます。
『3.利用促進策
● 新たな需要の開拓
○ イルミネーション電車の運行
18年度に試験的に実施したイルミネーション電車について、19年度の運行に向けて検討を行います。』
『4.増収対策
● 広告媒体の充実
○ ペイント電車の増車
ペイント電車については、車両の改修計画及び広告の応募状況を見極めながら、更なる増車を検討します。』
『6.収支見込み
● 平成19年度予算のポイント
・営業収支 2億5千万円の営業赤字 ←18年度予算から15 百万円悪化
・経常収支 1億円の経常赤字 ←18年度予算から6百万円悪化
・19年度末の資金残 2億4千万円の資金残 ←18年度予算から1億5千万円改善
○ 19年度予算では、非常勤職員の拡大等の効率化を引き続き行っていきますが、安全運行上必要な車両の改良等によって減価償却費が増加するため、営業収支及び経常収支は悪化が見込まれます。』
営業・経常収支の悪化は、存廃議論の渦中にあって長らく抑えられてきた車両改良を実施する為のものであって、この数字のみで市電の経営状態が悪化していると判断すべきではないでしょう。むしろ将来に向けての積極姿勢と評価したいと思います。
※「交通局実施プラン」の全文は札幌市交通局公式サイトで公開されていますのでご参照下さい。
http://www.city.sapporo.jp/st/kotsu_jisshi_plan/kotsu_jisshi_plan19-1.pdf
他にも、中央区の実施プランにも、主に「まちづくり」の観点から市電に関する記述がありますので、こちらも追ってご紹介したいと思います。(
文責:鈴木周作)
【札幌LRTの会公式サイト】
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