【数字でみるLRT/路面電車】低廉な建設費?
「まちづくり」におけるLRT/路面電車の役割や活用方策を語る中でも、こと数字にまつわる部分では、しばしば「通説」や「一般論」、時には根拠のない「予想」に頼ってしまいがちです。かく言う私もまだまだ勉強不足は否めませんが、この機会に多少なりとも信憑性のある「数字」を改めて確認してみたいと思います。
(イラストはイメージです)
まずはLRTの建設費。
一般に「1kmあたり10~20億」「地下鉄の約1/10」などと語られる事が多いようですが、具体的な根拠を求めてみたものの未だ国内での事例に乏しく、唯一純然たる「LRT」と呼べる「富山ライトレール」のケースを採り上げてみました。
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■富山ライトレールの事業費
JR富山港線を一部移設、再整備しLRT化
(
新設軌道1.1km/既存路線の再整備6.5km)
軌道敷(走行空間)整備費 8.0億円
軌道整備費 19.3億円
電気、信号関係整備費 14.2億円
車両購入費 15.7億円
ICカード導入費 1.0億円
代行バス運行費 0.3億円
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合計 58.5億円
【出典】(社)日本交通計画協会 JTPA REPORT「都市と交通」通巻66号
http://www.jtpa.or.jp/contents/pdf/toshi66.pdf
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比較対象として札幌市営地下鉄の中で最も新しい東豊線(1994年全通)を示します。
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■地下鉄東豊線の建設費
※車両購入費等を含まぬ建設費のみの金額です。
営業キロ 13.6km 建設キロ 14.5km
建設費1kmあたり 227億円
建設費 3,302億円
【出典】札幌市交通局「地下鉄の財務状況」
http://www.city.sapporo.jp/st/kousoku-zaimu/kousoku-top.htm
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基準が異なるので単純に比較することは難しいものの、感覚的に概ね10倍程度の開きがあることは理解できるかと思います。(
鈴木周作)
【札幌LRTの会公式サイト】
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