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2005年08月01日

函館市電訪問(早川 淳一)

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 この週末で、函館に行って来ました。
 とはいっても単なる「観光」ではなく(^^ヾ)、主な目的は7/25〜8/5まで運行されている函館市電の「花電車」を撮影すること。恒例の「港まつり」に合わせて運行されるこの花電車は第2次大戦前からの長い歴史を持っており、現在も花電車装飾用の車両(旧型の旅客用単車から改造されたもの)が3両、函館市電に在籍しています。
 花電車といっても電飾が主で、それほど凝った装飾はされていないのですが、乗務する職員の皆さんもハッピを着用して祭りムードの盛り上げに一役買っており、運行時に流される「港まつり音頭」などと共に、この時期の函館の風物詩となっています。

 1960年代の最盛期には路線長約17km(12系統)、営業車両数84両、1日平均乗客数も約12万人を数えていた函館市電ですが、現在は2系統約11kmの路線と33両の車両での運行となり、1日平均乗客数も約2万2千人となっています。しかし、運行系統が重複する湯の川〜十字街間では日中ほぼ5分間隔での運行となっており、高いフリークェンシーを確保しながら利便性の向上を図っています。停留場や車内での案内の際も、「電車は日中5分間隔で運行されています」というアナウンスが入れられており、待たずに乗れることが最大のセールスポイントになっている様子が伺えます。
 函館市電でも1978年〜1993年にかけて不採算路線の廃止・整理が進められ、現在の路線となったのですが、残された路線は従前から幹線となっていた路線でもあり、西部地区・五稜郭・湯の川温泉などの観光地への足としても便利なロケーションとなっています。それだけでなく、函館競馬場への主要交通機関としての機能も受け持っており、競馬開催時には増発等も行われることがあります。

 札幌市電と比較すれば、都市交通機関としての機能性を発揮するためには恵まれた環境にある…ようにも見える函館市電ですが、長年にわたり都心機能を担って来た十字街・大門地区の斜陽化、公共施設の市電沿線から郊外への移転、100円バスや観光バスとの競合など、市電事業を取り巻く環境は厳しさを増しています。打開策として、商業集積が進む美原地区(旧亀田市域)や函館空港への路線延伸により、市電の機能性・利便性向上を図るプラン等が何度となく取り沙汰されながらも、様々な「阻害要件」を打ち破ることが出来ないまま今日に至っているのが現状です。
 函館においても、かつて運営されていた市営バスは2003年までに全て函館バスへ移譲されており、市電のみが「公営交通」として残されている現状にあります。いずれ札幌と同様に、市電の存廃を含めた議論が展開される可能性も否定出来ないでしょう。

 これからどのような「仕掛け」に取り組んで、市電の「価値」を高めて行くのか。そして、函館市全体の街づくりの中に、市電の役割をどのように織り込み、将来的な経営基盤の確立に繋げて行くのか。…いずれも現時点では、まだ展開が読めない状況にあります。
 札幌市電の今後の存続に向けての取り組みとも、恐らくはどこかで「接点」を持ち得ることでしょう。ぜひとも、良い「相乗効果」に繫がることを願いたいと思います。

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Posted by 札幌LRTの会 at 01:57 │国内の話題

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