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2006年01月12日

【路線延伸問題】クルマと路面電車の共存に向けて

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雪の日の大渋滞。遺憾ながら今の季節の札幌ではよく見かける光景です。
巻き込まれて市電もノロノロ運転。挙げ句には軌道敷を塞いで停まる右折車両まで現れる始末・・・。「市電が邪魔だ!」「いやいや、クルマの運転マナーが・・・」と、論争は後を絶たないところではありますが、ここでちょっと視点を変えて考えてみたいと思います。

以下、昨年12月の「さっぽろを元気にする路面電車検討会議」で配布された資料からの抜粋です。

そもそも都心の交通渋滞の原因は何でしょう?
降雪期の道路事情の悪化、というのも当然ありますが、それにも増して自動車の絶対量が多過ぎることは間違いありません。しかも、都心部の自動車交通の約3割が都心に目的の無い「通過交通」なのです。(※日平均自動車交通量38万台、うち通過交通10万台)

一方、都心部では荷捌き車両の路上駐車も問題となっています。
荷捌き車両の実に9割が路上駐車であり、その駐車時間は5分未満が約4割、5〜15分が約4割を占めています。荷捌き中の1台のトラックが大渋滞を引き起こしてしまう例を、皆さんも御覧になった事があるのではないでしょうか?

荷捌きに限らず、路上駐車の問題は深刻です。
路上駐車台数は増加傾向にあり、平均路上駐車時間は平日・休日とも30分を越えています。と言って、必ずしも都心部の駐車場が足りないわけではなく、都心全体の駐車場容量は需要量を上回っているのですが、立地に偏りがあり、局所的に混雑が発生しているのです。

(※以上、太字は同資料からの要約引用です)

つまり申し上げたいのは、単に「混雑、渋滞!」とあげつらうばかりでなく、ひとつひとつの要因を冷静に見極めていけば、自ずと解決策のヒントが見えてくるのではないか?・・・ということです。
そうやって、より望ましい都市の在り様を見極めていくプロセスが「まちづくり」ということではないでしょうか?

要するに『棲み分け』です。

都心行きの自動車と通過交通との棲み分け。
荷捌きスペースの棲み分け。
駐車スペースの棲み分け。

・・・このような発想は別段目新しいものではなく、既に札幌市でも「都心交通計画」として検討が進められているものです。


さて、ここで路面電車の話に戻りますと・・・
そういった『棲み分け』の理論の中で「公共交通」「路面電車」の在るべき場所を探っていこう、というのが私達の提言です。
更に言うなら、都心回遊、まちあるきのツールとしての公共交通の存在意義を考えれば、「歩行者」も同じカテゴリーに含めてしまっても良いのではないかと思います。

幸いにも碁盤の目のように道路が整備された札幌は、『棲み分け』に非常に適した形態になっていると言えます。
例えば、ある1本の道が「公共交通優先道路」と定められて自家用車の進入が制限されたとしても、ほんの1丁、右か左に折れれば済む話です。距離にしてせいぜい100メートルの迂回です。しかも迂回先の道路は迷惑駐車や荷捌き車両が計画的に排除されて、より走りやすく便利になっていたら・・・結果として自家用車にも、歩行者にも、そして路面電車にとっても望ましいカタチでの共存が可能になるのではないでしょうか?

私達が目指しているのは、そんな「まちづくり」です。


市電延伸問題について、私達の元にも沢山のご意見を頂戴致しました。
中でも延伸に否定的なご意見を呈される方は、決まって「道路渋滞」の問題を指摘されます。確かに現状の都心の道路にそのまま軌道を割り込ませるのは無理があるかも知れません。しかし、この問題はことさら市電だけを採り上げて論じるべきものではなく、道路の棲み分け、役割分担・・・自家用車やバス、トラック、歩行者なども含めた総合的な「まちづくり」の観点から論じていかなければならないものだと思います。

加えて、高齢化社会を迎えるにあたって、現在のような「クルマ優先社会」が本当に望ましいものなのか・・・特に高齢者の方ほど公共交通への依存度が高いという現実を踏まえて、改めて考えてみる必要がありそうです。(鈴木周作)


【札幌LRTの会公式サイト】



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この記事へのコメント
棲み分けはこれから特に公共交通機関にとっては重要なキーワードだと思います。
ただ、ルールを守らない人が絶対いる。
荷さばきのトラックの問題なんかは、かなり厳密に駐車場等を配置しないと、路上駐車はなくならないでしょう。
以前デパートで搬入の時間などを決めて渋滞や混雑を無くす試みをしていましたが、あれは良かったと思う。
でも、小さい店でも搬入はあるし、そこまでコストがかけられるかどうか、、、、
車社会は札幌では余程の大改革がない限り変わらないでしょう。郊外型の都市成形になってきちゃってますから。
しかし路面電車の存在は必要だと思う。
自分のBlogでも書きましたが、町中を走るなら、「自転車」感覚で使ってもらえるようになればいいかなぁと。
でも、町中乗り入れは道路が広くなるか、駐車場の大幅な充実がない限り難しいかも。車乗りに猛反対に遭いそうな気がします。長々と書いてしまってすいません、、、
Posted by ゲスト at 2006年01月13日 15:40
路線の延長によってエリアとエリアを結び、大きな一つのエリアになれば新しい街の魅力になりますよね。
「大通り」に行く、「札幌駅」に行く、じゃなくて、「街」に行く、みたいな具合に・・・・・・
札幌の話じゃないですが、旭川医大前を始発・終点としていた路線バスが、7年程まえに医大の敷地内に入って医大病院の正面入口のまん前を始発・終点と変更しました。
乗り付けるのは勿論ノンステップバスです。
札幌の市電も延長に併せて、これに近い事が出来たらいいなぁと思います。大病院やショッピングセンター等々・・・・・・・
Posted by ゲスト at 2006年01月14日 00:13
 marimoさん、佐々木さんをはじめとして、多くの皆さんがこの問題に興味を示して下さっているようです。本当にありがとうございます。
 「一つしか出てこない意見に賛否を問うよりも、多くの意見から如何にまとめ上げて行くか」…が、大事だと思っています。今後とも忌憚のないご意見を頂ければ幸いです。

 地下鉄は、ポイント同士を結ぶ「点」の交通機関としての機能が強いのに対し、路面電車は街中を「見せながら」結ぶ、「面」の交通機関になりうると思います。
 そうなると、路面電車の中から「見られる」ことになる街並がまず魅力的にならなければ、「まち歩きのツール」としての機能も活きて来ないと思うんですよね。
 交通機関の「選択」は、街づくりのハードの一つを選ぶに過ぎないということ、そしてその街から何を発信し、何を提案できるかということ。
 結局はそれが大事なのだろうと、僕自身は思っています。

 「あ、あれ面白そうな店だなぁ。ちょっと降りてみよっか…?」
こういう気持ちで利用してもらえる路面電車と、その電車が走る街が出来ればイイなぁ…と。
 そんな「想い」を胸に、これからの議論を見守って行きたいと思います。
Posted by 札幌LRTの会 at 2006年01月14日 11:48

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