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【札幌LRTの会】 ~札幌の市電・路面電車と公共交通~ › 札幌市電の活用方策/延伸問題 › 【延伸問題】札幌商工会議所が「延伸凍結」を改めて要望

2007年10月07日

【延伸問題】札幌商工会議所が「延伸凍結」を改めて要望

少々古い話題になりますが、去る8月28日、札幌市と札幌商工会議所(札商)の懇談会が開かれ、その場で改めて札商側から「市電延伸反対」の要望が出されました。

市電問題以外も含めて札商側から提出された全12項目の「要望」と、それらに対する札幌市側からの回答が、札商の公式サイトに掲載されていますのでご参照下さい。
>>札幌市への要望(札幌商工会議所Webサイト)

以下、太字は上記Webサイトからの引用です。
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『6.路面電車の札幌駅延伸反対について (都市再生委員会)

 路面電車の延伸は、経営面、投資効果、政策効果などの観点から、適正な投資判断とは言えず、都心延伸、とりわけ札幌駅延伸については反対である。
 札幌市では、路面電車活用の基本計画検討フレームを作成し、平成21年度の基本計画(案)策定に向け、必要な調査・検討を行っているが、多額の市税が投入される路線延伸を前提とした事業化計画の策定を凍結するよう要望する。

(回答)
 路面電車の活用については、都心部の魅力や賑わいの創出にどのように貢献できるか総合的な検討を進めているものであり、札幌に相応しいデザインによる低床車輌の導入や、「札幌駅・大通・すすきの」の3地区を結ぶ路線延伸を進めることで、都心の活性化を図ることが魅力的なまちの実現に向け、大きな効果が期待できるものと考えている。』

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札商が市電延伸に強硬に反対しているのは周知の事実ですし、このように賛否両論、忌憚のない意見が交わされるのは有意義な事であると思います。しかし、今回の「要望」を見る限り、私個人としては特に以下の点において違和感を感じました。

1つは、あらゆる分野で「推進」「拡充」といったプラスの要望が列挙される中、市電だけは敢えて「凍結」というマイナスの要望が挙げられている点。

もう1つは、単に延伸に反対するだけでなく、延伸について議論・検討を行う事すら容認しない強硬姿勢。

札幌市では本年7月、今後の議論の進め方や問題点などを整理した「基本計画検討フレーム」を公表。その中で、今後事業化の判断に必要な調査・検討を進めた上で、平成21年度までに事業化を判断するために必要な「基本計画(案)」を取りまとめるとしています。具体的な事業計画の策定は、上記を踏まえた上で事業化の判断がなされた後、平成22年度以降となる予定です。
札商のいう「事業化計画の策定を凍結」というのが、どの段階を指しているのか定かではありませんが、あくまで議論の元となる調査・検討を進めている段階で、その調査・検討を凍結せよと言う事であるとしたら、「議論する事すら容認しない」という姿勢にはいささか疑問を抱かざるを得ません。

それらを踏まえて改めて読み返してみると、「都心延伸、とりわけ札幌駅延伸については反対」の言い回しに、いささか感情的なものを感じでしまうのは穿った見方でしょうか?

市電延伸には強硬に反対する一方、「札幌南環状道路の建設推進」「都心部と高速道路を結ぶ自動車専用道路の整備」など、「要望」の中には大規模な道路整備が挙げられています。

すなわち、札商の描く「まちづくり」とは「クルマ社会の更なる推進」。それに対して「歩いて回れるまちづくり」が我々市電活用推進派の提案です。
少子高齢化、都市拡散と都心衰退・・・来るべき時代を見据えた時、どちらの主張に分があるのか、札幌市、市民を交えた幅広い議論が今後交わされていくことを期待したいと思います。(文責・鈴木周作


~追記~
今回の「懇談会」にも出席された札商幹部氏が、当時委員を務めておられた「札幌市営企業調査審議会・交通部会」でも「延伸反対」の立場から意見を述べられています。以前当ブログでもご紹介させて頂きましたので、併せてご一読頂ければ幸いです。
>>【札幌市営企業調査審議会】交通部会7/5開催(07.6/28up)
>>【存廃問題】議論の原点?~平成13年交通事業改革プランより~(07.6/25up)


【札幌LRTの会公式サイト】



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この記事へのコメント
反対から凍結になったから譲歩した積もりなのでしょうか。
それにしても多額な税金といわれるが、10倍も100倍もかかる高速道路や地下鉄はどんどん作れとはどうもそのものより多額な建設費に夢よもう一度という気持ちが露呈しているのでは。商工というけど工の方が声が高いのでは。北海道の最大の職業は建設業ですから、製造業より多いのですから。
架線レスになれば建設費は更に安くなるのでは。車両はいずれにしても道外に発注されるでしょうから。
三井ビルやニッセイビルの設計社はすでに電車を想定して絵を描いていると聞いていますよ。これで一番儲けるのは商ですから、先進国では活性化の切り札として競い合って導入しているし、実績も上がっているのですが視察に行くとかもう少し勉強してもらいたいですね。井の中の蛙では、今頃道路なんて20年は遅れているのでは、いつでも視察団旅程設定には協力しますよ。
Posted by 臼井 寛 at 2007年10月07日 11:51
 指摘があったとおり、商工会議所は「議論すら許さない」というスタンスだと思います。「どうせ4年塩漬けにすれば、次の市長を担ぎ出してひっくり返せる。ついでに市電も全廃してしまおう」というハラなのでしょう。最近発行された「財界さっぽろ」や「クォリティ」辺りの記事を見ても、何となくそんな本音が読み取れます。
 ここはジャイアンツのように(?)「一発逆転」でひっくり返すよりも、ファイターズのようにコツコツと「単打」を重ねて、チャンスを広げる展開にしたいところだと思います。臼井さんが紹介されている動きも、うまく展開すれば「進塁打」に出来るのではないかと思いますし、一応「試験」とは言え、この冬には「SWIMO」(超低床電池駆動路面電車)が札幌で走ります。こういうモノをきちんと見て頂いてから、これからの可能性などを含めた前向きの議論に進んでほしいものです。

 …皆さんはいかがお考えでしょうか?
Posted by 早川 淳一 at 2007年10月10日 20:05
ご指摘のとおり、建設業の方は自らのクラス街の利便性よりも何よりも自らの受注額のみが気がかりではないのかと考えてしまいます。
設備投資がもっとも少なくてすむ路面電車は建設業にとってもっとも儲からない社会設備のひとつなのでしょう。
新幹線 空港 高速道路 が日本を滅ぼします。


都市交通の採算性が良く言われるのですが、欧州の例を持ち出すまでも無く
都市の基本的なインフラである交通設備は利用者数で決めるべきで、採算性は二番目であると考えます。

どうしても採算性を言うならば、図書館はなぜ無料なのでしょう(図書館法のあることはもちろん承知の上です)。文化は無料で交通は採算性というのは都市政策として変だと思います。
百歩譲って、公共の乗り物はすべて採算性を優先するなら、街のそこここにあるエスカレーターやエレベーターも有料にすべきです。

縦に動くか横に動くかの違いだけではありませんか?
Posted by 故意の街札幌 at 2008年03月09日 01:29

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