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2007年07月02日

【札幌市営企業調査審議会】市電問題…平成18年度の審議から

先日ご紹介させて頂いた札幌市営企業調査審議会・交通部会
7月5日に開催される本年度の審議を前に、昨年度の審議をもう一度振り返ってみましょう。

出席された委員14名(部会長含む)のうち市電問題に言及された7名の発言をここに整理します。

【存続・活用に否定的:3名】
・A部会長 : 「経営が成り立たない」とした平成13年答申をとりまとめた立場として、延伸・ループ化論には違和感。
・B委員 : 市長が代わってからの存続方針に経済界は真っ向から反対。地下鉄並行区間は廃止しても構わない
・C委員 : 市長が人気取りで存続・延伸を進めたが、異論があることも頭において欲しい。
  
【存続・活用に肯定的:4名】
・D委員 : 現状のままの存続は困難だが、環境・高齢化対策からも利便性を高めて存続・活用する方向性は正しい。
・E委員 : 経済効率一辺倒の議論は間違いやすい。赤字額に見合うだけの経済効果・広告的効果、文化的側面からも存続に値する。
・F委員 : 都市づくりの一環として延伸・ループ化を進めるべき。
・G委員 : 電車はなつかしくて心なごむもの。子供たちの心のゆとりを育てるためにも残して欲しい。

あくまで個人的見解ですが、否定派の論拠には「平成13年答申への執着」「現市長の方針への反発」が強く感じられる一方、肯定派は公共福祉の観点からコスト負担を容認しても存続・活用すべきとの意見が多かったように思われます。その後の諸々情勢の変化を踏まえての本年度の審議が大いに注目されます。(鈴木周作

以下、長くなりますが太字は札幌市営企業調査審議会・平成18年度交通部会議事録からの引用です。

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●A部会長
 それでは、(4)の路面電車活用方策の検討状況についてご意見いただきたいと思います。ただ、資料4にございましたが、路面電車に関しましては、我々この市営調査審議会の中で、資料4の1枚開いた次のページにございましたけれども、既に平成13年に路面電車に対する意見を当審議会の意見としてまとめ、市長に答申をしたという経緯がございます。その中では、経営的に見ると、交通事業としては難しいということを答申してございます。その後、路面電車につきましては、存廃の方向を検討なさって、市長の意向として、市のお考えとして残していくんだという形で、今、更に存続させる中で、まちづくりに活用していくんだというお話を先ほどご説明いただいたわけでございます。
 これにつきまして、委員の皆様から。

●B委員
 2、3申し上げたいんですが、困ったなと思って先ほどから聞いていたんですけれども、路面電車につきましては、桂市長さんのときに、今ご指摘のように、何年も前から検討委員会を重ねて、これはかなり難しい問題ですねという段階で止まっていたのかなと。今度は、現在の市長さんになってから存続と。しかも存続のあり方については、ループ化といったような、さっぽろを元気にする路面電車検討会議のなかでも3案ほど話題にのぼっておりますけれども、経済界は真っ向からこれに反対しております。反対ということは、もっと慎重にやりましょうと。先ほどの説明で、路面電車が果たして札幌を元気にしてくれるかと。特に商業者については、むしろない方がいいという極論まであるんです。したがいまして、そういうことで非常に意見が食い違いましたので、市役所さんと都市再生検討委員会というのができまして、改めてこれは根本から考え直そうと、検討し直そうということになっているということをお知らせしておきます。
 ただ、市役所さんの中にも総合交通計画部というのがあって、今日の皆さんは、現場を預かっている方々だろうと思いますけれども、じゃ今後どうするのということは、違った組織でまた検討されているということで、今の再生検討委員会の方には、こちらの方が入ってきてくださっているんですね。ですから、交通事業の方としても、そういう意味で違った意見があるんだということを、ぜひお含みいただきたいということを申し上げて、私の話を終わります。

●A部会長
 この委員の中にも何人かいらっしゃるんですけれども、私もこの審議会の部会長としまして、先ほどの平成13年11月の市長に対する答申の中では、路面電車につきましては経営的に成り立たないと。ですから、もし存続するんであるとすれば、交通事業からは切り離した形で見直しをしてほしい旨の答申をしました。私もそのときの役目を担ったものでございますので、最近の延伸とかループ化ということについては、若干の違和感はございます。それと商工会議所といった商業者の中にも反対意見、もちろん賛成意見もあるんでしょうけれども、複雑な意見があるということもございました。
 ほかの委員の方、いかがでございましょうか。

●C委員
 確かにもう既に5年たっていますから、状況も変わっていると思うんですけれども、言いづらいことですが、市長が人気取りかのように、こういう方向に市議会も認めていったという経緯においては、市議会で結論が出たわけですから、今さら仕方ないことではありますが、審議会としては、今、部会長おっしゃったように、その方向だったのではなかろうかというふうに思っています。したがって、B委員がおっしゃったようなことを頭のどこかに置いておいていただいてというふうなことを、私は要望いたします。

●D委員
 延長論、ループ化が大分旗色悪そうなのでちょっと弁護しますけれども、前にこの審議会で、市電はもうやめたらどうだという議論があったんですけれども、そのときは、もう老朽化しているので、それを直すためにはこれだけの金がかかりますと。そのお金はなかなか捻出することはできませんと。つまり現状を前提にした上で存続するかどうかという議論がかなり柱になっていたと思うんです。私も現状のままで存続させるかどうかという議論になれば、これはなかなか大変だろうと思うんです。ただ、今議論になっているのは、現状のままでとどめておいてどうするかという議論ではなくて、もっと前向きに、どうやって活用しようかという議論になって、これが正しい方向でないかと思っているんです。今のままであるからなかなか難しいけれども、例えばある程度思い切った投資もして、利便性も高めて、札幌駅地区と、前から言っているように、すすきのとの間を何とかつなぐ方法をやるということになると、ずっと活用できるんでないか。それで、いろいろ言われていますけれども、環境にやさしいとか、今後どんどん老齢化していく過程の中で、みんな車の運転ができるわけじゃないわけですから、そうすると、市電が使えるということは、年寄りの社会にも非常にやさしいのではないか。今のうちにやっておかないと、高齢化していくと、ますますそういう設備を整えていくということは困難になってくるのではないか。そういう意味では、非常に私は方向としてはいい方向で動いているのではないかと思っているんです。ただ、今のままならだめですよ。だけれども、新しい方向でどうするかと。しかも思い切った投資もして、利便性を高めるという前提であれば、私は決して間違った方向での議論ではないというふうに思っています。

●A部会長
 もちろん高齢化社会を迎える中で、あるいはお子さんにやさしい交通体系というのは、これからどうしても必要になってくると思うんです。ただ、それが路面電車が適当なのか、あるいはそのほかの方法があるのかということも、いろいろなご意見が以前もございましたし、ここでなかなか意見はまとまらないんだと思うんです。また、まとめる場でもなくなっておりますので、委員の皆さんのそういった意見を何らかの形で市の方では対応するだろうと思います。

●E委員
 経済効率一辺倒の議論というのは、非常に間違いやすいと思っております。市電のあるまちというのは、いろいろ全国にありまして、熊本、高知、北海道でいうと函館。これはまちの顔になっているという現実というのがあると思うんです。それが魅力になり、子供たちにエコ教育をやりというようなことを、1つ押さえておかなければいけないことだと。簡単に経済効率一本でぶった切るというのは、誠に無残なことだと私は思います。特にこの赤字の9,000万円をどう見るかという。十分それに値する、いわゆる経済効果というのがあると、広告的効果ですね。高速軌道の地下鉄における赤字とか、様々なことで非常に大きな額でのやりとりで、そこを頑張れば、つまり路面電車ぐらいは楽勝に守れると私は思うんです。少しそういう観点というか、文化的側面からきちんと見た方がいいというのが私の意見です。

●F委員
 私はあって結構だと思うんですよ。ループ化も含めて、現代において、この札幌という都市づくりの一環として、狭い道に、悠々と例えば南1条を走っていると、車で走るというと、レールのところまで走らなければならんとか、いろいろなこともあったりするので、歩道との関係とかそんなことも含めて、総合的にこういうものが出ているわけですから、よりいいものにみんなで考えて、都市づくり、札幌というまちに行くと電車が駅前にあるんだというスタイル、これをもう一度考える必要があるんでないかなというふうにして、ぜひ私は進めていきたいという感じがします。

●G委員
 私は、近年、全然なつかしいところがないなと思って悲しく思っているんです。それで、電車というのはすごくなつかしくて、心なごむものだと私は感じているんです。ですから、安全・安心という安全は確かに数値的なことですけれども、安心という心のゆとりの問題があると思いますので、ぜひ子供たちに、この心の部分を育てるためにも、今、赤字かもしれないけれども、赤字にしない方策をみんなで知恵を出して、ぜひそのまま残していただきたいと思っています。

●D委員
 ロマンだけではなかなか説得できないと思うんです。きっちりちゃんと採算ベースも考えていかなければいけない。そのためには、投資効率を高めるためにも、どういう投資をするかというようなことも、かなり厳密にやってもらわなければならない。例えば今、駅前で地下工事をやるとかと言っているでしょう。もし駅前を続けるときには、あれ一緒にやった方がずっとコストダウンになるんじゃないですか。そういうようなことも検討する余地だってあり得るわけでしょう。何十億も違うかもしれません、ひょっとしたら。だから、延ばすとか延ばさないとか、ループ化にするとかどうかというのをさっさと結論を出して、どういうルートでやるのかと。もし駅前でやるんだったら、駅の地下道をつくるのは何とか局の何とかだというんでなくて、一緒になってちゃんとどうやったら効率化できるかというのを検討する余地もあるだろう。それから仕事の中身についてもいろいろ委託する、さっき人件費の問題もありましたけれども、委託したことによって、地下鉄なんか随分よくなったでしょう。国内のあちこちの交通機関に乗ることありますけれども、大体だめなのは県営バスとか県営交通とか、そういうところは大体だめです。民間の方がよっぽどサービスはいいんです。そういうことを考えると、まだまだコストを下げて維持するという工夫もできるはすなので、そういうことをもう少し検討してもらえれば、もっと説得力あるものになるんでないかなというふうに思っています。

●A部会長
 時間ももう20分超過しております。私の個人的な意見を申し上げますと、いろいろ存続かどうかということのアンケート調査もなさってきたわけですけれども、今後はきちんと都心部にどのような形で、どこを具体的に電車が通るのか、その路線図もきちっと出していただいて、それに対してどれくらいのコストがかかるのか、投資が必要なのかということもきちんと数字を出していただいて、もう一度市民の皆さんのご理解、納得を得て結論を出していただくことが望ましいと思っています。これはもちろん文化的な視点も必要でありますし、そういった観点も踏まえてご検討いただければと思います。
 当時、平成13年のときには、今の路面電車を維持するだけでも、老朽化あるいは低床化のために約90億円のお金がかかるんだと、そういった説明もございまして、とても財政負担に耐えないということで、そういう背景のもとに、いろいろご意見をいただいて答申を出した経緯がございます。そのときと、また事情はもちろん変わっているわけですけれども、便利なものには必ずコストがかかりますし、我々が想像する路面電車が駅前通りをもし通るんだとすれば、駅前の道路の交通体系をかなり変えないと、現実的に物理的に難しいものだと思います。もしほかの路線を選ぶんだとすれば、それは本当にまちづくりに貢献するものなのかということも再度検討が必要かと思うんです。ですから、具体的な青写真を出して、コストも算定して、それでもなおかつ市民の生活にとって便利なんだというきちんとした市民の賛同を得ていただかないと、後世に残す赤字になってはいけないと思います。これは私の個人的な意見ですけれども、この辺はよろしくお願いしたいと思います。

●B委員
 地下鉄も電車もバスもJRも道路も、有機的に結びついていないなという印象を持っています。具体例を言いますと、この市電路線図をちょっと見ていただきたいんですが、静修学園からずっと地下鉄と並行して走っていますね。それから西15丁目から西4丁目まで地下鉄と並行しています。ですから、電車を存続するのは私は賛成です。だけれども、今のまま残す必要はないんじゃないか。例えば静修学園と幌平橋をつなごうとします。それから西15丁目でもいいですけれども、それと西18丁目の地下鉄駅をつなぎましょう。そうすると、地下鉄と電車がループ化されます。それから、先ほど観光の話をされましたけれども、じゃ、なぜ山麓駅とロープウェイ入り口が離れているんですか。ロープウェイ入り口といっていながら、300メートルも400メートルも歩かせるというのは、これは観光客に対して全然やさしくないんですね。これはロープウェイを延ばすか、電車を通すか、そういう総合交通という視点を持たないと、いつまでたっても乗車料で、地下鉄も電車もまかなうことができないと、そういうことを申し上げたいんです。

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>>札幌市営企業調査審議会・平成18年度交通部会議事録全文はこちらを御覧下さい(札幌市交通局Webサイト)


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Posted by 札幌LRTの会 at 14:23 │札幌市政/区政の話題

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